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美星天文台:美星町観光協会(公式)

星空保護区®について

美星町と星とのかかわり

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提供:美星天文台

「美しい星が見えるまち」として知られる美星町は、古くから住民が深く北辰(北極星を神と崇める)信仰をしていたとされており、また、鎌倉時代初期の承久年間には、流れ星が空中で3つに分かれて落ちたとされる伝説(星尾降神伝説)も残るなど、星とのかかわりの深いまちです。

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天体観測の分野でも美星町の星空の価値は古くから認められており、岡山県西南部の気候が天体観測に適していたことから、世界的に著名なアマチュア天文家も何度となく美星町で観測を行うなど、星の質の高さが注目されていました。
今から40年前の1983(昭和58)年には、海上保安庁所管の水路観測所(船舶の安全な航行に必要な情報を集めるために天体観測などを行う施設→海図や航海歴などが作られていた)が、倉敷市中心部からまち灯りの影響のない美星町内で最も標高の高い大倉竜王山(512m)に移転・設置されました。

また、美星町では、町内の公共施設やまちのイベントの冠などで「星の郷」という言葉をよく目にしますが、この「星の郷」という言葉が登場したのは1980年代前半のこと。当時、特徴ある道路案内を設置しようと星のマークが入った道路案内を作る「星の郷みちしるべ設置事業」を行った際に「星の郷」の言葉を使ったのが始まりであり、その後、星の郷青空市、星の郷ふれあいセンター、星の郷文化発表会など、施設やイベントに使われはじめ、美星町を表す言葉として定着していきました。このように、まちは「星の郷」としての素質を古くから有していましたが、実際に星を観光資源として生かすように変わっていったのは1980年代後半からでした。

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1987(昭和62)年8月に、美星水路観測所広場で「スターウォッチング星空の街コンテスト」が開催されました。これは環境庁(当時)が全国に呼び掛けて星空継続観測を行ったもので、コンテストの結果、翌88(昭和63)年に美星町を含めて全国108の自治体が「星空の街」に選定されました。これにより、美星町はいきなり全国デビューを果たした格好になりました。

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この選定を記念して同年8月には、岡山県内の天文ファンや関係者の協力によって「星の降る夜'88」が3日間の日程で開催されました。野外演奏会や講演、星空観望会、星の歌のカラオケや演劇等が催され、町内外から約3,000人の参加がありましたが、肝心な観望会当日の天候はあいにくの雨。仕方なく、役場の職員とアマチュア天文家たちが集まって星空談義をした中で話題に上ったのが「光害」に関することでした。その中で「アメリカには星空を守る条例がある」という世界の動きが共有され、「美星も天体観測に良い条件が揃っているのだから、星空を条例で守ってほしい」という具体的な声が上がりました。

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美星町では「星は見上げればそこにあるもの」との感覚で、そこまで強力なコンテンツになるとは考えてなく、町外からの意見を聞くにつけて、星を中心としたまちおこしが町のブランディングになるとの思いから、光害防止条例を制定する動きにつながりました。とは言え、光害防止条例の制定は全国初の試みだけに、手探りでの進行。美星町役場(当時)の職員が国へ相談に出向き、またシンポジウムを開催して意見交換するなど、精力的に条例制定に動きました。当時、国内では光害の考え方が一般的ではない中で、発案から約1年かけて検討を重ね、1989(平成元)年11月22日に「美しい星空を守る美星町光害防止条例」として制定されました。今日こうしてまちの姿があるのも、当時の町長をはじめ、動かれた役場関係者をはじめ、多くの先人の熱意の賜物です。

条例の制定後は、光環境を考えるフォーラムやシンポジウムなどを開催して地域への啓発を行い、1993(平成5)年7月7日には、国内有数の公開天文台で美星町のシンボル的な施設である美星天文台が開館しました。さらに、2002(平成14)年5月には宇宙ゴミや地球に接近する可能性のある小惑星の観測を行う美星スペースガードセンター(現JAXA管轄)が開所し、名実ともに「星の郷」としての地位を確立しました。

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その後、近年は町内の屋外照明環境の改善を推し進め、光害防止条例の見直しも行い、2021(令和3)年11月1日には、国際ダークスカイ協会(IDA)から星空版の世界遺産と称される「星空保護区®」の「コミュニティ部門」に認定されました。日本では、沖縄県の西表石垣国立公園と東京都神津島に次いで3番目の認定であり、コミュニティ部門への認定ではアジアで初めてとなる快挙でありました。

星空保護区®への認定はあくまでも通過点です。今後も美しい星空の保護活動や星空環境を生かした持続可能なまちづくりに取り組んでいきます。

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美星町02 星空保護区と美星町

BISEI 02 International Dark Sky Places and Bisei town(English)

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