美星天文台:美星町観光協会(公式)

季節の星座・天文イベント

スペースガードセンター

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2013年、約1500人が怪我をしたロシアのチェラビンスク州の隕石落下。極めて稀なことでしたが、地球の天体衝突の恐ろしさを。世界中の専門家がこの問題に注視し、地球に近づく恐れがある小惑星の観測をしています。こうした"地球防衛"に関する活動は「スペースガード」や「プラネタリ―・ディフェンス」と呼ばれ、この分野を専門的に取り組んでいる日本唯一の施設が「美星スペースガードセンター」です。JAXAの施設で、ここで働くNPO法人「日本スペースガード協会」の観測員。交代勤務制で、口径1m50cmの望遠鏡を使って宇宙を"パトロール"。まだ見つかっていない小惑星探しや、既に見つかっている小惑星の軌道を導くほか、観測結果を海外の研究者に共有しています。

同センターで見つかった未発見小惑星は、現在までに約4,000個。そのうち約500個については軌道が確定し、国際天文学連合によって正式に番号が付けられ、登録されています。登録された小惑星には、発見者の提案で名前を付けることができます。過去には、Bisei(美星)、井原市のマスコットキャラクターDenchukun(でんちゅうくん)、隣町・矢掛町のYakagehonjin(矢掛本陣)、ホームラン王Ohsadaharu(王貞治)、Carp(広島カープ)など、様々な名前が付けられました。最近では、同センターが企画した学生向けのイベントで発見した小惑星がIbara(井原)と命名され、話題になりました。

また、小惑星とともに観測を続けているのが、打ち上げたロケットの残骸や使われなくなった人工衛星など、宇宙のゴミとよばれる「スペースデブリ」。小さなものでは数十センチ級のものからあり、秒速数キロという高速で運動しています。これらがもしも運用中の人工衛星や、宇宙飛行士が滞在する国際宇宙ステーションなどに衝突すると、衛星や施設が壊れ、宇宙飛行士の生命にも危機が及びます。インターネットを使ったり、天気予測を知ること、GPSを使って移動することなど、私たちの暮らしにも直接影響を及ぼす事態になるかもしれません。そうした事故を未然に防ぐため、その軌道を正確に把握することが大切です。同センターではスペースデブリを含む宇宙物体の光学観測を担っており、見つかった物体はJAXAに報告を。安全な宇宙空間を維持するための活動に貢献しています。

施設は一般開放していませんが、隣接する展示館では、活動の様子を模型やパネル、映像などで詳しく解説しています。また協会では、美星天文台と共同で高校生向けの研究体験イベント「星の学校」や、小学生から高校生を対象とする小惑星発見イベント「スペースガード探偵団」などを開催するほか、井原市内で「サイエンスカフェ」を定期開催。また観測員たちは、町内や周辺地域のお祭りで科学実験ブースを出展することも。美星町は、星や宇宙の光だけではなく、宇宙の観測や研究に関わる天文家を身近に感じられる町。ぜひ機会があれば、イベントに気軽に参加してくださいね!

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